転職時の悩み

会社の先行き(将来)が不安…。だからといってすぐ転職活動するべき?

記事内に商品プロモーションを含む場合があります
こちらの記事は、2020年10月時点でWebサイト上にある転職理由ランキング情報に基づいて記載されています。

「最近会社の業績が良くないから、転職活動を始めた方がいいのかな」

「今の仕事は好きだけど、会社の将来が見えなくて不安」

「転職の理由が”会社の先行きが見えないから”っていうのはどうなの?」

たとえば、「会社が赤字になった」「会社のビジョンが見えない」「業界全体が落ち込んでいて自分の会社も不安」など、会社の先行きに不安を感じている人は多いと思います。特に昨今はコロナ禍の影響もあり、「コロナ倒産」なんて言葉もよく聞くようになりました。

周囲で会社を辞めた人が増えたり、先輩や同僚が転職活動を始めた話を聞いたりすると、「自分はこのままでいいのかな」と不安は大きくなりますよね。

でも、だからといって、すぐ転職活動を始めることを考えると、それはそれで不安…という人も多いのではないでしょうか。

このままこの会社にいていいのか、それともさっさと転職活動をした方がいいのか…。
ここでは、そんな風に迷っている方に、転職を考える前に知っておいて欲しいこと、考えてみてほしいことについてお話しします。

「会社が先行き不安」で転職を検討する人は多い?

2020年の今、転職すること自体がとてもライトに考えられるようになりました。

転職する理由も色々あるでしょうし、業界・職種・地域によっても変わってくるものですが、実際に「会社の将来・先行きが不安だから」という理由で転職活動をしている人はどのくらいいるのでしょうか。

転職理由として「会社の将来が不安だから」は実は多い

厚生労働省が公表している「平成30年雇用統計調査(19歳以下~39歳までの男女)」の転職理由のランキング(※注)によると、「会社の将来が不安」は第4位です。

  1. 労働時間、休日など労働条件が悪い
  2. 給与に不満がある
  3. 職場の人間関係がよくない
  4. 会社の将来が不安
  5. 定年・契約期間の終了

また、大手エージェントサービスdodaが毎年実施しているアンケート調査でも、2018年度は3位、2017年度は2位にランクインしており、会社の将来が不安になって転職活動を始めた人は多いということがわかります。

(※注)こちらのデータは下記より引用しています。
引用元:厚生労働省30年雇用調査
参考:doda 転職ランキング2019<総合>doda転職ランキング2018<総合>

コロナ禍の影響で今後はさらに増える?

2020年は、世界中で新型コロナウイルスの感染が猛威を振るい、社会情勢が大きく変わった年になりました。

日本でも、オリンピックの延期が決定し、2020年4月からの緊急事態宣言の発令によって、特に飲食業界や旅行業界などは早くから大きなダメージを受けてしまいました。終息までにはまだ時間がかかると言われており、中長期を見据えた「Withコロナ」「Afterコロナ」の対策を講じている企業も増えています。

そんな中で「会社の将来を不安に感じている」ことを転職の理由に挙げる人は実際に増えているように感じます。

日経電子版 「出世ナビ あしたのマイキャリア」より
転職への関心高まった」6割に コロナ禍で急上昇
(調査期間:2020年7月30日~8月7日、有効回答数735人)

転職することにはリスクもある

会社の将来が不安なことを理由に転職している人が多いことを知って、「じゃあ自分もすぐに転職活動した方がいいかも」と思うかもしれません。

でも、転職したら必ず今より良い会社に入れるのか、というのはまた別問題。

転職=新しい会社に移る、ということですから、当然ながら少なからずリスクがあります。特に転職活動が初めての方には、転職することのリスクや落とし穴について知っておいてほしいことがあります。

「こんなはずじゃなかった」はよくあること

新しい会社に入ってから「あれ、なんか違ったかも…」という経験は、実は結構よくあるパターン。時間をかけて大変な思いをして転職したのに、「こんなはずじゃなかった」という結果にはなりたくないですよね。

一般的に転職の失敗例は色々あるのですが、ここでは、「今の会社の将来に不安を感じている」人が、「この会社なら安定していそう」と思って転職をした場合に起こりがちな失敗例をピックアップしてみました。

「会社の先行きが不安」で転職した人が陥りがちな失敗

実はブラック企業だった

業績も伸びていて将来性もありそうだし、積極的に中途採用をしているから安心して入社したけれど、実際入ってみたら「サービス残業が多くて休みが取れない」「どんどん人が辞めていく(だから常に募集している)」ということがわかった。

面接では良いことばかり言われたけれど、いわゆる「ブラック企業」に入ってしまった。

社風が合わなかった

会社の規模感や強みなどから安定性も感じられるし、仕事も面白そうだなと思って入社したけれど、社内の雰囲気やルールなどが自分には合わなくて、入社してしばらく経っても周囲の人たちとあまり馴染めていない。

自分と話の合う人もいなくて、社内の人間関係が構築しにくいので会社にいるのがつまらなくなってしまった。

労働条件や収入が前より悪くなってしまった

安定していて賞与もちゃんと出ているみたいだし、事前に提示された条件も納得して入社したけれど、実際に仕事が始まってから条件が違うことがわかった。

たとえば、完全週休2日で必ず土日は休みと聞いていたけれど、実際は毎月土曜出勤があった。残業はほとんど無いと聞いていたけれど、周りの先輩たちはみんな結構残業している。

また、月給が思ったより低くなってしまい、さらに賞与もほとんど無く、年収もガクっと下がってしまった。

思ったより活躍できなかった

会社や仕事について面接できちんと説明してくれたし、ここなら安定していろいろ経験できそう、と希望に溢れて入社したけれど、実際に仕事を始めたら、違う仕事ばかりさせられていて自分のしたいことができていない。

いろいろな知識やスキルを身につけたいけれど、それも叶いそうになくて、これなら前の会社で経験を積んでいく方が良かったと思った。

「求人情報や面接で言っていたことと違った」という背景には、面接時から入社までの間に会社の方針や配属部署の状況が変わっていた、なんてことも。

そういったことも含めて”転職のリスク”だと心に留めておきましょう。

なぜ失敗してしまうのか

上記のように、求人内容や面接を通して「この会社は大丈夫」と思って入社したけれど実情は違った、というパターンは少なくありません。

では、どうして失敗してしまったのでしょうか。考えられる理由としては、大きく2つあると思います。

会社の規模やネームバリューなどに頼りがち

今の会社の将来に不安を感じる人は、「今の会社よりも安定している会社」を軸に転職活動をする傾向があります。

だからこそ、「大手企業」「世間的なネームバリュー」「昨年比〇〇%UP」「景気に左右されない」といったイメージや言葉に反応して企業を選びがちです。

確かに、これらは転職先として魅力に感じますし、今の会社が不安定だからこそ安定性を求めるのは当たり前かもしれません。

でも、求人や企業HPによる表向きの顔や世間的なイメージが先行してしまったり、実際に自分がその会社に入って働くことをイメージできていなかったりすると、入社後に大きなギャップを感じて「思っていたのと違った」ということに大きく落胆してしまうでしょう。

自分が何をしたいのか、どうなりたいのかが明確ではない

そもそもの転職理由を「会社が不安定だったから」「周りもみんな辞めていったから」「給料が下がったから」といった「会社」を軸にしてしまうと、「自分自身」についてよくわかっていないまま転職活動をしてしまうことになります。

自分の人材価値を客観的にわかっていなかったり、自分が将来どうなりたいのかが明確でなかったりすると、縁あって入社した会社でも、自分に合わないと感じてしまったら、結局「このままここにいて大丈夫なのかな」と思ってしまうことになるでしょう。

面接で必ず聞かれる「転職の理由」。「今の会社の将来が見えないから」と答えることは間違いではないですが、それだけだと面接官に良い印象を与えないことの方が実は多いです。

安易な転職で失敗しないために考えるべき3つのこと

では、そんな風に失敗しないためにはどうしたらいいのでしょうか。まずは、転職活動をする前にしっかり考えておいてほしいことがあります。

転職しても「譲れない条件」がありますか?

勤める会社が変わっても、これだけは守りたい、というものを洗い出してみましょう。

たとえば、自分の生活水準を考えて、最低年収はこのくらい欲しいといった「給料」、土日は絶対休みたい、残業はしたくないといった「就業条件」、同年代が多い会社でワイワイ働きたい、落ち着いた環境で働きたいといった「職場環境」。

あなたの「会社選び」の軸となる、会社に求める条件を決めておくことは大事です。

「働くうえで大事にしていること」は何ですか?

次に自分自身についてです。会社や仕事に関して自分がどんな考え方やスタンスを持っているのかを考えてみましょう。

たとえば、「会社の社風が自分に合っている」「仕事とプライベートをしっかり分けたい」「管理職や幹部などにキャリアアップしたい」「結婚や出産などライフワークの変化を経ても働きたい」など。そこから、自分が大事にしていることが明確になってきます。

今の職場が不安な中でも、どのくらい頑張っていますか?

会社が不安定だからといって、自分の仕事を頑張らない理由にはなりません。

もしかしたら、会社の業績が落ちたことで社内の雰囲気が良くなかったり、退職する人が増えたりしているかもしれませんが、現時点での自分に任されている仕事や役割があるのなら、まずはそれをしっかりこなしていくのは当然のことです。

周りの環境の変化が自分の仕事や意欲に影響してしまう人は、どんな会社に行っても結局振り回されてしまうことになるでしょう。

うまく洗い出しできない…というときは、今いる会社で自分が満足していること、不満に感じていることから考えるとまとめやすいです。

自分のことだけではなく、今の会社の魅力や良さなどが再確認できるよい機会になると思います。

「会社の将来が不安」が理由で、転職が成功する人、しない人

ここまでは、転職活動を始める前に知っておくこと、考えておいた方がいいことをお伝えしてきました。

いろいろ考えて洗い出しをしてみたら、転職した方がいいのかどうかますますわからなくなってきた…という方もいると思います。

そこで、ここでは、「今すぐ転職しない方がいい人」「成功しやすい人」についてお伝えします。

今すぐ転職しない方がいい人とは?

  • 今の職種でキャリアを積みたいが経験が浅い人
  • 「目先の安定」しか考えていない人
  • 自分に合う社風がわかっていない人

今の職種を続けたいけど、まだ経験が浅い人

もし今の仕事が好きで自分に合っているという場合、経験が浅いと今より良い条件で採用してくれる会社はなかなかないかもしれません。せっかく自分に合った仕事をしているのなら、今の会社でもう少し経験を積んでいくことを選んだ方がいい場合が多いです。

もしかしたら今の会社が良い方向に進むかもしれませんし、経験を積んでから転職活動をしても遅いことはありません。

「目先の安定」しか考えていない人

転職の失敗例でも少し触れましたが、「今の会社の状態」だけを見て、もっと安定した会社を求めると、他の大事な部分に思考が及ばなかったり、自分に合わない環境を選んでしまったりと選択ミスを起こす可能性が出てきます。

自分に合う社風がわからない人

実際にその会社で働く自分のイメージが想像しづらいので、「とりあえず安定して働けそうだから」という理由で転職を決めてしまいがちになります。

入社前はとても魅力的に見えた会社でも、実際に職場で働いてみたら自分には合わなかった、とガッカリしてしまうことになるかもしれません。

どんな人なら成功しやすいか

実は、転職が成功しやすい人というのは、「今いる会社の状態」は関係ありません。

自分に合った仕事や環境、自分が将来描いているビジョン、自分を客観的に見たときの現時点の市場価値など、「自分自身」をよく分かっている人は、”自分”を軸にして転職活動を行うことができます。

そのため、その会社・仕事・ポジションが自分に合っているかを見極めることもできますし、結果的に自分の理想や希望に合った転職先を見つけられる可能性が高まります。

簡単にまとめると…

単に「今いる状態から抜け出したい」という考えからの転職は、あまり良い結果を生みません。

会社や周りのせいではなく、自分がどんな会社でどんな仕事をしたいのか、どんな環境なら気持ちよく働けるのか、一旦立ち止まって考える時間を作ってみましょう。

今すぐの転職をやめた場合にできること。

これまでの自分を振り返ってみて、今すぐ転職しない方がいいのかも…と感じている方。
思いとどまってはみたものの、「今の会社にいても将来の不安はぬぐえないし、じゃあ自分はこれからどうしたらいいの?」と思っていませんか?

転職するのは一旦やめておこうと決めた場合は、将来に向けて「今の会社でできること」を見つけて取り組んでいきましょう。

経験を積んでスキルや知識をしっかり身につける

特に中途採用ではこれまでの経験を評価されることが多いため、「転職=ステップアップ」を目指した方が良い転職ができます。

そのためにも、今の仕事で経験を積んで習得できる知識やスキルをたくさん身につけておけば、いつか転職しようと思ったときに必ず役に立ちます。特に専門職の場合は、幅広い知識があって精通度が深かったり、経験年数などが多い方が断然有利です。

事業や会社の現状と未来のビジョンを把握しておく

世の中の景気に左右されたり、会社の資本が変わったりなど、会社の経営に影響が出る理由はさまざまです。

自分の会社が先行き不安な状態になっている理由は何でしょうか。もし知らないのであれば、ちゃんと把握することが大事です。その上で、会社がどのような対策をしているのか、今後どのようなビジョンを持っているのか、ということを知っておくといいでしょう。

もし、会社の想いに共感できることがあれば、会社を一緒に立て直していこうという希望が芽生えるかもしれません。

明日からでもできることは?
  • 今の仕事でより良い成果をあげられることを考える
  • これまで身につけた知識やスキルをさらに磨いていく
  • 今の会社の良いところや魅力にも目を向ける
  • 「人は人、自分は自分」と割り切って自分のペースを守る

自分のキャリアを見つめてみよう

いくら転職がライトに考えられる時代になっても、転職するという行動には不安はつきものです。そして誰もが「できれば転職には失敗したくない」と思っています。

実際に「会社の将来・先行きが不安」という理由で転職を始める人は多いものの、安易に転職活動を始めるのは得策ではありません。そこにある落とし穴も知っておくべきです。

もし、それでも「自分は今すぐ転職するべき」と思ったら、実際に行動に移すのもありだと思います。初めての転職だからどうやって動けばいいかわからない…というのであれば、転職活動をサポートしてくれるエージェントも多数ありますので、一度登録してみるのもいいかもしれません。

どちらにしても大事なのは、今の会社がこの先どうなるかではなく、「あなた自身がどうなりたいか」です。

「この会社にいて本当に大丈夫なの?」と会社のことばかりを案じる前に、まずは自分自身を見つめ直してみてください。そこから、「転職は一旦やめてもう少し頑張る」「転職活動を始める」を決めてはいかがでしょうか。