転職を成功させたいと考えている人の多くは、自分が理想とする条件を考え次のキャリアアップを目指し転職活動を進めていることでしょう。
しかし自分の理想とする条件をすべて叶えることは難しく、どうしてもどこかの条件は妥協しなければいけないケースも多くあります。
妥協をすることで転職が失敗してしまうのではないかと不安に思う人も多いと思いますが、結論からいうと妥協点を正しく見極めることが転職成功の鍵を握っています。
そこで今回は、転職を失敗させないための、妥協して良いポイントや悪いポイント、妥協すべきか悩んだら取り組むべきことについて解説していきます。
転職時に妥協をすると失敗するのか
転職時は、自分の理想とする条件と企業の条件を照らし合わせながら活動を行うことになりますが、妥協したからといって転職が失敗することには直結しません。
希望する条件すべてを兼ね備えている転職先が見つかることは最も理想といえる形ですが、現実的に考えて自分のすべての理想を叶えることは極めて難しいでしょう。
つまり転職活動をする際は、ほとんどの人が何かしらの妥協をしなければなりません。そこで重要になるのが、妥協点の見極めです。
結論からいうと、妥協点はある程度存在するものだということを受け止め、妥協点の優先順位を見極めながら転職活動を行うことが重要です。
複数ある条件から優先度の高い条件に当てはまる企業を選ぶことで転職活動が失敗することを極力抑えることが出来ます。
転職時に妥協して失敗するケース
では、どのような妥協をすると転職を失敗してしまうのでしょうか。
まずは自分が転職したい理由を考えなおし、叶えられる範囲内で条件を明確にしていくことが必要です。
もちろん、条件を明確にしたとしても失敗するケースは存在するので、いくつか例を出して紹介していきます。
条件すべての理想が高すぎる
理想が高いまま転職活動をスタートしてしまうと、いざ条件が合わず妥協をしなければいけない局面で中々妥協をすることが出来ません。
また妥協できたとしても、理想が高すぎることが原因となり転職後の企業に長く務められないことも考えられます。
転職において自分の理想がすべて叶うことはそもそも非常に稀なケースです。
希望条件のうちどこかを妥協をしなければ、転職活動を成功させられないことを前提に条件を考えましょう。
目標や理想が高いことは決して悪いことではありませんが、自分の市場価値や業界の動向なども頭に入れ、高すぎる理想を設定しないようにしましょう。
転職理由を明確にできていない
なぜ自分が転職したいのか、今の会社を退職したいのかなど、転職理由を明確にできていないと妥協点を誤る可能性が高いです。
まずは、なぜ今の会社を辞めたいのか、理由を明確にするようにしましょう。
転職理由になった現職での課題や不満は、「自分の中で優先度の高い項目(条件)」であるため、妥協するポイントではありません。
転職理由を明確にしないまま理想ばかりを求めて転職をしてしまうと、自分が妥協するべき点に気づくことが出来ず入社後に後悔することになるため注意が必要です。
転職時に後悔しない妥協点の探し方
転職時に妥協点は付きものと言いましたが、実際に妥協する際にはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
基本的には、「自分が最も優先すべき点」、「絶対に望まない条件」の2つを決めることで、転職後に後悔することを避けることが出来ます。
自分の最優先事項を決める
まず最初に、転職後の企業に自分が求める最優先事項を決めましょう。
例えば年収や休日、残業時間の短さなど様々ありますが、その中で今の職場では実現できず、次の職場では絶対に実現したい条件が何かを明確にします。
せっかく転職をして環境を変えるのであれば、少しでも多くの理想を叶えたいと思うでしょう。
しかし、現実的にはすべての理想が合致することは難しいため、理想条件の中でも自分が最優先となる項目を見つけてください。
現在実現出来ない条件の中で、最も優先すべき条件を明確にできれば転職の成功に繋がります。
自分が最も望まないことを決める
あなたは、今の職場で何か自分が望まない事があるから転職を考えているはずです。
例えば残業時間が多い、休日が少ない、仕事の裁量が持てないなど人によって様々なことが思い浮かんでいるでしょう。
転職活動時は絶対に実現したい条件と同様に、この絶対に望まない(避けたい)条件を明確にすることも重要です。
妥協したものが「避けたい条件」だった場合、次の職場でも同じ悩みを抱えてしまうことになります。
妥協点を作るためにも、自分が最も望まない条件はいくつかの候補を出すようにしましょう。
譲れない条件以外は妥協することも必要
何度か触れてきましたが、転職をする際にすべてが理想通りになることはほとんど無いため、いくつかの条件で妥協することになります。
つまり、転職を成功させてキャリアを重ねていくためには、ある程度妥協しながら転職活動をすることが求められます。
よく転職時に理想のみを追い求め失敗に終わってしまうケースもありますが、そうならないためにも、転職には理想と妥協のバランスをとることが重要だと理解しましょう。
「最優先する条件」と、「最も望まない条件を避けること」の2つを上手く実現することができれば、転職を成功させ新しい企業で安定して働くことが出来ます。
転職を成功させる妥協と失敗させる妥協の違い
次に転職を成功させる妥協と失敗させる妥協の、2つの違いを説明します。
大きく分けて成功させる妥協は自分起因のもの、失敗させる妥協は企業起因のものが挙げられます。
自分が希望する条件の他にも、転職活動時に注目するポイントはたくさんあります。たくさんのポイントの中から妥協しても良いポイントと妥協してはいけないポイントを紹介します。
妥協しても良いポイント
転職を成功に導く妥協は、転職後の頑張りによって変化させることができるものへの妥協です。具体的には、以下のような場合です。
- 評価制度が整っている企業での転職時の提示年俸が希望より低い場合
- マネジメント職を希望した場合にメンバーで採用された場合
- 希望するプロジェクト(場合によっては部署など)が違う場合
上記のようなポイントは、自分で変えることが出来る、いわば内的要因です。
もちろん実現が難しい条件もあるかと思いますが、「その企業に入り特定の事業に携わりたい」と思っているのなら、妥協しても良いものです。
評価は入社後に上げることができる
面接での評価は実務能力を評価されているのではなく、過去の経験を評価されている場合ががほとんどです。
希望額を上回る金額を提示されないこともあると思います。また、マネジメント職を希望していたり、希望する部署に入社できないことも少なくないでしょう。
しかし、諦めないでください。入社さえしてしまえば、あなたの能力を発揮する場所を得ることができます。
転職直後に給料が低くても、中長期的には自分次第で年収を上げたり、部署異動やリーダーへ抜擢されることもできるでしょう。
このように、自分次第で後から変えられるポイントは、転職時に妥協をしたとしても最終的には自分の望み通りに変化させられます。
妥協しない方がよいポイント
逆に妥協すべきではないポイントは、企業起因となり自分では変えられないような外的要因です。
例えば、以下は具体例と言えます。
- 企業理念・ビジョン(企業文化)に違和感がある場合
- 企業の評価制度(年功序列制など)に不満がある場合
- 人間関係に問題を感じる場合
上記のような項目は自分次第で変えられることの出来ないポイントです。
転職により新しい会社に移るということは、新しい価値観を持つ組織へ飛び込むということです。
すでに組織に浸透した文化や制度、ビジョンなどの価値観は自分一人の力では変えることは難しいです。
例えば、今の会社が年功序列で給料が上がらないことに不満がある場合、同じく年功序列のある会社に転職をしても失敗に終わる可能性が高いでしょう。
そのため、今の会社で自分の力で変えられないような項目は、次の会社でも変えることができない可能性が高いため、妥協をせずに環境が違う会社を探す方がベターといえます。
絶対に避けたい条件も妥協はしないこと
もう一つのポイントとしては自分が絶対避けたい条件は、確実に避けることです。
例えば残業が多いことが受け入れられず転職をする場合、例え給与が2倍になり役職が上がったとしても、今と同じく残業時間が多ければ、転職後にまた同じ理由で転職を考え始めます。
自分が了承できないポイントと他の好条件を比べると、好条件に目を奪われ自分の優先順位を見失うこともあるでしょう。
その場合、自分がなぜ転職をしたいのか、どのような条件は絶対に避けたいのかを改めて考え、自分の転職活動の軸がぶれないように立ち止まって考えてみてください。
転職時に妥協すべきか悩んだら取り組むべきこと
正直どこで妥協するべきか、そもそも妥協して良いのかなど迷うこともあるでしょう。
その場合、まずは自分自身で妥協できる点、出来ない点を再確認するようにしてください。
考えがまとまらない場合は、エージェントや友人など第三者の力を借りることも選択肢の一つです。
自分の希望条件の優先順位を整理する
転職活動中に迷ったときは条件の優先順位を整理することが大切です。
どんな条件は絶対に妥協できないのか、どの条件なら妥協できるかをシートやエクセルなどにまとめ、優先順位をつけてみましょう。
転職活動を行う中で自分の軸がぶれてしまい、自分のキャリアを形成する上で妥協できる点と出来ない点を見失ってしまうことも考えられます。
また好条件ばかりに目を奪われ、自分が妥協出来ない点も知らないうちに妥協してしまい、入社後にギャップを感じてしまうこともあるでしょう。
このような状態にならないようにするため、自分の優先順位を整理し可視化することは非常に重要です。
転職経験者への相談
自分でリストを作り妥協点を整理して、それでも中々考えがまとまらなかった場合、自分の周りの転職経験者に意見を求めるのも一つの手段です。
意見を聞くときは、その人がどのような点で妥協をしたのか、その結果どうなったのかなど、実体験をベースに意見を聞くと良いでしょう。
可能であれば、自分の現状と似たような状況にいた人に意見を聞くのがおすすめです。
自分と近い環境や考えで転職をした人が、どのようなポイントは妥協できたか、逆にどこは妥協しなかったのかなどを聞くことで、自分の転職活動をよりリアルにシミュレーションすることができます。
また、転職後に後悔していることや、失敗だと感じるポイントもヒアリングすることがおすすめです。
同じような価値観で転職活動をした人が感じている後悔や失敗は、自分が転職した後も同じように感じる可能性が高いです。
転職エージェントへ相談
転職エージェントなどのプロへ相談することもおすすめです。
転職エージェントは年間で何十人と転職希望者と面談を行い、実際に転職の支援をしています。つまり、転職の成功も失敗も間近に見ているということです。
多くの転職希望者を支援した経験のある転職エージェントの意見は参考になるものが多く、あなたと似た状況の方を例に、アドバイスをくれることも期待できます。
企業への交渉や内情を教えてくれたりもする
また、実際の会社の内情が求人情報と乖離していて妥協点の見極めに失敗してしまうこともあります。
しかし、転職エージェントは各企業ともやり取りをしているため、ネット上にある情報以外にも詳細な情報を知っているケースが多いです。
転職エージェントへの相談は基本的に無料で行える事が多く、コストも掛からず情報収集や相談が出来るため、転職活動に不安を感じるときは転職エージェントを頼りにすることも忘れてはいけません。
転職エージェントを利用したからといって、転職が成功するわけではありません。
あくまでも自己分析や、企業の情報収集のサポートと考え、自分の軸は自分で決めることが、妥協点を見極めることにつながります。
意思決定に自信を持とう
くり返しますが、理想の条件がそろった企業に就職することは極めて難しいといえます。重要なのは転職を失敗させないための妥協点の見極めです。
自己分析を行い、絶対に譲れない条件と絶対に受け入れられない条件を決めて、その中間の条件をいかに妥協するかが転職を成功させるためのポイントです。
自分が希望する条件の軸を作り、自信を持って妥協点の見極めの意思決定を行ってください。