転職コラム

【理想だけを求めないで】「スタートアップへ転職する」ことへの理想と現実

スタートアップへの転職のアイキャッチ
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こちらの記事は、本メディア運営者の主観が入っています。また特定の企業を指しているわけではありません。

2023年、「スタートアップ」という言葉も社会に定着してきたと思いますが、未だにスタートアップやベンチャー企業に転職するのは少数派であることに変わりありません。

本記事では、スタートアップやベンチャー企業に転職したい、転職する予定という方に向けて、スタートアップを3社経験した私(ノート君)が理想と現実をお話します。

ノート君
ノート君
こんにちは!転職ノートを運営しているノートです。かなり主観の入った記事ですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

そもそもスタートアップとは?

スタートアップの定義にも色々ありますが、共通しているのは以下の点ではないでしょうか。

  • 既存のビジネスにはない革新性がある
  • 急激な成長を目指す戦略を描いている
  • 主に投資家から資金調達を行う

これらの特徴を持つ企業がスタートアップと呼ばれることが多いと思いますが、個人的には言ったもの勝ちのような状態になっていると思います。

よくベンチャー企業との違いなどを説明している方がいらっしゃいますが、転職市場でいうとスタートアップとベンチャー企業の明確な差は存在していません。

あくまで「採用時のキャッチーなフレーズ」として「スタートアップ」のような単語を使っている企業が多いです。

ですので本記事では、「VC(ベンチャーキャビタル)やエンジェル投資家から資金調達をしている」という点だけを見て「スタートアップ」と定義したいと思います。

ノート君
ノート君
一番伝えたいのは、「スタートアップは数年後に存在しているかわからないという点です。」安定して長く働きたい思いが強いのでしたら、スタートアップへの転職はやめましょう。

求人サイトや転職エージェントでのスタートアップ

先程、「スタートアップ」は採用におけるキャッチフレーズと化しているという話をしましたが、それはスタートアップと呼ばれている、もしくは自称している企業が採用活動を活発に行うことが理由です。

スタートアップは採用費用が潤沢

投資家から調達した資金があるので、良くも悪くもスタートアップは採用に投資するための資金が多いです。※そもそも採用目的で資金調達を行ったりもします。

知名度の低い企業は、人を増やすために多くの求人媒体や転職エージェントを利用します。従業員が10人にも満たない企業が3媒体、複数社のエージェントなどを利用するのは一見すると異常です。

しかし、スタートアップでは、「人」こそが一番の資産であり投資対象として重要であるからこそ、あの手この手を使い求人情報の露出を行う必要があるのです。

また、スタートアップでは「エンジニア職」が重宝されます。そのためエンジニア職採用では通常の2倍から3倍のお金が動くこともあります。

ノート君
ノート君
採用費用が潤沢であるからといって採用に成功するわけではりません。スタートアップは入退社が激しいため、採用に成功せずに人手不足により事業失敗するスタートアップは少なくないです。

競合に勝つためにビジョンを語る

スタートアップの知名度は低いです。また「なんとなく不安」というイメージもあり転職先の候補に入ることは少ないです。

そんな状況もあり、スタートアップの求人や採用サイトは「ビジョン」を目立たせます。

  • 自分たちの挑戦がいかに社会を変えるのか
  • ビジョン実現に向け挑戦しやすい(働きやすい)環境を用意している
  • 働いているメンバーの満足度を目立たせる

など、「会社のきれいな部分」が目立つ採用サイトや求人票が多いです。

もちろん、採用の現場で「会社の悪いこと」を言う必要はないのですが、「何かを隠すような違和感」を感じる方もいらっしゃるでしょう。

ノート君
ノート君
求人を出しているスタートアップが悪いわけではありません。大切なのはスタートアップへ転職を目指す人が、「理想と現実」、「メリットとデメリット」を理解して入社する必要があるということです。

スタートアップでの理想と現実

次にスタートアップでの理想と現実をお伝えします。これはあくまで私の経験に基づく話ですので、すべての企業が該当するわけではないことを念頭においてください。

ノート君
ノート君
理想を体現しているスタートアップも存在します。ただそのような企業はごく一部です。

理想:メンバー全員がハイスペック
現実:メンバーのスキルが偏っている

スタートアップの求人には「少数精鋭」などの言葉が並ぶことが多いです。チームメンバーとして紹介されている方の経歴もキラキラ(有名大学や有名企業出身)しているでしょう。

応募者は「どんなすごい人たちと働けるだろう」とワクワクするかもしれませんが現実はそんなことないです。

  • 役員の紹介やコネで入社したメンバー
  • 人数不足による採用基準の低下
  • VCからの紹介

など、様々な経路で入社するメンバーがいるため、能力やモチベーションに偏りが出ます。

もちろん「何をもってハイスペック」と呼ぶのかという問題もありますが、少数「精鋭」とはなんだったのか?と疑問に思う人もいるでしょう。

ただ、ここでメンバーへの不満を感じるのならスタートアップへの転職はおすすめしません。スタートアップに入るなら「事業を成功させるのは自分である」という気持ちで入社しましょう。

ノート君
ノート君
スタートアップに入社するだけで満足しないでください。入社後に事業を成功させるのは「あなた」です。成功に向けて何ができるのか、どう動けば良いのかを自分で考え、行動できるようにしましょう。他責思考はスタートアップに必要ありません。

理想:裁量権を持って大きな仕事ができる
現実:裁量権はあるが地味で小さな仕事が多い

大手企業のようなしがらみに縛られず、のびのびと大きなチャレンジができる!そんな言葉を信じて入社するが、毎日地味な仕事の繰り返しじゃないかと不満に感じる人がいます。

それもそのはず、本来仕事とは地味で小さなことの積み重ねです。スタートアップに転職しただけで大きな仕事ができると思わないでください。

スタートアップは「何でもできる」かもしれませんが、「何でもある」わけではありません。仕事は自分で作るものです。大きな仕事がしたければ自分で仕事を作る必要があります。

お客様との関係構築、プロダクトの改善、事業計画、などやることはたくさんあります。逆を言えば「自分次第で何でもできる状態」です。始めは小さくて地味な仕事かもしれませんが、それが花開くまでチャレンジし続けることができる人がスタートアップに向いている人だと言えるでしょう。

ノート君
ノート君
ただし、何でもできるからといって、長時間働き体を壊してしまうと元も子もありません。自分が働く時間内に優先順位を決めて動かないとせっかくのスタートアップが、ただ辛いだけのブラック企業となってしまいます。

理想:優秀な仲間がどんどん増える
現実:入退社が激しく同期がどんどんいなくなる

断言します、理想を体現できるのは「ごく一部のスタートアップ」です。それこそ投資家が自然と集まる企業です。そのような企業はあえて赤字を出しています。

それはいずれ黒字に転換できる可能性が高いためです。投資家からの評価の高いスタートアップは理想を体現できる可能性が高いでしょう。

ほとんどのスタートアップは入退社が激しい

従業員数が多くても少なくても、多くのスタートアップでは平均勤続年数は3年、多くとも5年をきるところがほとんどではないでしょうか。退職理由は様々ですが、以下の理由が多いように思います。

  • 事業や会社に見切りをつける
  • 入社後ギャップが激しい
  • 業務内容に興味をもてなくなった
  • 一緒に働くメンバーを信頼できなくなった

理想を求めて入社した人が、現実を知って辞めるパターンが多いです。そして、平均勤続年数の3年という数字にも意味があります。

それは、新規事業を3年も続けていると「この事業はうまくいかない」という気持ちになる人が多いためです。事業や会社に見切りをつけ「次のスタートアップを探す」という選択を取るという思考に変わっていきます。

ノート君
ノート君
成功するまで諦めるなとは言わないですが、辞めるまでの3年間をどう過ごしたのかを振り返るようにしましょう。試行錯誤した3年間と、流されるまま過ごした3年間の差は大きいです。次の挑戦をするならなおさらです。

理想:売上がドンドン上がっていく!
現実:何度も倒産の危機に合う

「私達はうまくいっている!」、「事業も組織も成長している!」など、スタートアップと呼ばれる企業のHPや求人票を見ると「あなたも勝ち馬に乗りましょう」という気持ちを煽られることもあると思います。

代表との面談で、「ビジョンを実現するためにあなたが必要!」と言われることもあるでしょう。ここで思考を止めないでください。自分が入社後にどうやって事業を成功させるのかを考え続けてください。

スタートアップの環境は1年でも大きく変わります。あなたが入社した1年後や3年後は別の会社になっていると言っても過言ではないです。そんな変化の中で事業の成功のために思考と止めず、動き続ける必要があります。

また、競合他社の台頭、大量退職、大口顧客のサービス解約など様々な理由から資金が大きく減り、倒産の危機にもさらされます。

大げさではなく、社員1人1人のパフォーマンスが事業の成長に大きく影響します。大きな変化や倒産の危機を覚悟して入社してください。

ノート君
ノート君
実際に私が過去にいた会社は、入社してから3年で倒産しました。この3年間は濃い時間でしたが、結果として事業は失敗に終わってしまったので、この経験を次に活かせるようにしたいです。

スタートアップは良くも悪くも自分次第

ここまで、スタートアップの理想と現実についてお伝えしましたが、これはあくまで私個人の偏った意見です。この記事を読んでいる方のスタートアップについての印象がどう変わるのかはわかりませんが、スタートアップについて最後にもう3点だけ、偏った意見をお伝えしたいと思います。

他責思考は自分も他人も不幸せにします

スタートアップに限らず、他責思考はあなたも周りも不幸にします。もちろん外的要因によって自分の行動が阻害されることもあるでしょう。

ただ、少し視点を変えるだけでその後の動き方は変わるはずです。特に仕事では、誰しも一度は必ず失敗します。その失敗をどう捉え、どのように改善するかは自分の行動にかかっています。

失敗したあとに立ち上がるのはあなたです。きれいごとかもしれませんが、自分が動く限り物事は前に進みます。

代表や役員を100%信用しないでください

これは、代表や役員が何か悪いことをしているというわけではありません。代表や役員の言葉を鵜呑みにせず自分の言葉で理解するようにしてくださいという意味です。

代表や役員はスタートアップおいて大きな発言力を持っていることがほとんどです。しかし同じ人間です。判断を間違えることもあります。

代表や役員の戦略に納得できない場合は異を唱えることも大事です。その結果仲違いしてしまう可能性もありますが、あなたの人生を他人に丸投げだけはしないでください。意見を交換し自分が納得できる状態で仕事をしましょう。

何かを得るためには何かを犠牲にしてください

スタートアップはではメリットもあればデメリットもあります。

  • 「大きな裁量権」と「大きな責任」
  • 「何でもやれる環境」と「自分の時間」
  • 「成功後の金銭的リターン」と「成功するまでの投下時間」

上記のように、何かを得ると何かが必要になったり、何かが犠牲になります。裁量権を持てば責任が伴いストレスが生まれるかもしれません。何でもやれる環境で挑戦を増やすと、働く時間が長くなり自分の時間がなくなることもあるでしょう。

あくまで上記は例ですが、スタートアップに入ることで自分が何を得たいのか、そのために差し出せるものは何かを考えておきましょう。

ノート君
ノート君
「こんなはずではなかった」と思わないためにも、スタートアップという環境で何を望み何を諦めるのかを考えるようにしましょう。

スタートアップでの仕事を楽しみましょう

スタートアップに転職した人の話を聞くと、「こんなはずじゃなかった」というネガティブな意見が多い印象を受けます。それは「スタートアップの理想的なイメージ」が独り歩きしているからではないでしょうか。

スタートアップのイメージや理想だけではなく、現実へ目を向けることでスタートアップへの理解を深めてほしいです。スタートアップは自分次第で変化を生み出せます。スタートアップでの変化や挑戦を楽しめるかどうかはあなた次第です。

浅いことしか言えていないかもしれませんが、スタートアップの理想と現実の両方に目を向け、ご自身のスタートアップでの挑戦を楽しんでいただけますと幸いです。