マリッジブルーやマタニティブルーなどと言われるように人生の転機において、この決断が本当によかったのかと不安になることってありますよね。
実は、転職時にも同じような不安を抱える人は多く、“転職ブルー”と呼ばれています。
今回の記事では、転職ブルーとは何かを詳しく解説し、解決策をご紹介していきます。
ぜひ納得のいく転職となるよう、この記事を参考に自分に合った解決策を見つけてみてください。
転職ブルーとは
転職ブルーとは、転職を決断して内定がもらえたにも関わらず、下記のような不安を抱えてしまう状態を指します。
- 本当に転職しても良いのだろうか
- 転職先で上手くいかなかったらどうしよう
- 今の職場が良く見えてきてしまった
- なんとなく不安で憂鬱になってしまう
本当に内定を承諾しても良いのか、それとも今の職場で働き続けるのか。環境が変わることで誰しも先の見えない不安とストレスを感じやすい状態になります。
転職時多くの人がストレスを抱えやすい
1968年に米国の社会学者ホームズらが開発した社会的再適応評価尺度というストレスを数値化した指標があります。
表:ホームズの社会的再適応評価尺度
順位 | ライフイベント | ストレス度 |
---|---|---|
1 | 配偶者の死 | 100 |
2 | 離婚 | 73 |
3 | 夫婦別居生活 | 65 |
4 | 拘留 | 63 |
5 | 親族の死 | 63 |
6 | 個人のけがや病気 | 53 |
7 | 結婚 | 50 |
8 | 解雇・失業 | 47 |
9 | 夫婦の和解・調停 | 45 |
10 | 退職 | 45 |
11 | 家族の健康上の大きな変化 | 44 |
12 | 妊娠 | 40 |
13 | 性的障害 | 39 |
14 | 新たな家族構成員の増加 | 39 |
15 | 仕事の再調整 | 39 |
16 | 経済状態の大きな変化 | 38 |
17 | 親友の死 | 37 |
18 | 転職 | 36 |
ホームズの社会的再適応評価尺度では、配偶者の死をストレス値を100とした場合に、解雇47、退職45、転職は36というストレス値が示されるとされています。
社会人になると人生において会社という環境が、金銭面や人間関係でも大きな割合を占めると思います。
その環境が変わる転職は、結婚という大きな転機や親友の死に直面した時と同じくらいのストレスを抱えてしまうほど、実は精神的負担が生じやすいのです。
転職ブルーになりやすい人の特徴
転職ブルーになりやすい人やパターンというのがあります。
- なんとなく転職を決断してしまった
- 何事にも慎重派で完璧主義な人
- 転職が盛んな時期を過ぎた40代
1つずつ解説していきます。
なんとなく転職を決断してしまった
転職の目的や将来性をしっかりと考えずになんとなく現状に不満があるから転職を決断したという人は、転職ブルーに陥りやすいです。
転職する軸がブレたり、内定がもらえた企業は本当に自分の働きたかった会社かがわからなくなってしまうこともあり、転職することが正しい選択であったのか迷いが生じやすいからです。
何事にも慎重派で完璧主義な人
何事にも慎重派で完璧主義な人は、転職においても情報収集や対策を入念に行い転職を決断すると思います。
そういった方は、きっと正しい決断であっても、失敗してしまったらどうしよう、先の見えない不安などで他の人よりもストレスを抱えこみやすい傾向にあります。
転職が盛んな時期を過ぎた40代
転職が一番多い世代は20代から30代。
もちろん40代での転職も少なくはありませんが、ある程度経験やスキルを積んだ40代ではまた特有な転職ブルーを抱えることもあります。
40代での転職の場合、転職先の会社では比較的年齢も上な中で新しい環境に飛び込まなければなりません。
20代や30代の転職の場合、受け入れる側も慣れていたり、多少仕事に慣れるまでに時間を要しても許容されやすい傾向があります。
しかし、40代での転職では、人間関係を新たに構築する難しさと、即戦力として期待されるプレッシャーなどで転職ブルーになる人も多いのです。
転職ブルーを感じやすい期間
転職ブルーを感じやすい期間は、特に内定をもらってから入社当日までの期間です。
特に内定を承諾するか悩んでいる時や決断した直後など不安が一番強くなりやすい傾向があります。
ほとんどの人は、働き始めることでその不安は少しずつ減少していきます。
しかし、転職後新しい職場になれるまでの約3ヶ月は、この会社に転職を決めてよかったのだろうかという転職ブルーな状態が続く人も少なくはありません。
転職ブルーの原因7つ
転職ブルーになる場合には、いくつかの要因が考えられます。
転職における不安や気分の落ち込みを解消するためには、まず自分の場合どんな原因があるのかを理解することが必要です。
- 第一志望の企業ではなかった
- 転職前の企業が良く見える
- 人間関係や環境が変わることへの不安
- 引き返せない、上手くいくかわからない不安
- 転職理由や目的を見失っている
- 転職先の企業の悪い口コミを見た
- 働いてみたら理想とのギャップがあった
具体的に説明していきましょう。
第一志望の企業ではなかった
内定をもらった企業が第一志望の企業ではなかった場合、自分の決断が正しかったかと悩んでしまうことが多いです。
- もっと良い企業があったのではないか
- 自分の決断は正しかったのか
- いざ働き始めてから後悔したらどうしよう
自分が100%納得して決めた転職先ではないからこそ、より先の見えない不安に苛まれる可能性が高いのです。
転職前の企業が良く見える
転職すると決意しいざ内定がもらえると、先の見えない不安により今まで慣れた職場が急に良く見えてくる場合があります。
転職理由が、職場の人間関係などではなくスキルアップや業務内容の場合は特に転職ブルーになりやすい傾向があります。
- 転職したからといって、本当に転職先で上手くスキルアップができるかはわからない
- 今の会社が嫌になって転職を決断したわけではない
- 今の会社で働き続けた方が、もしかしすると幸せなのではないだろうか
という不安は転職ブルーの典型的なマイナス思考パターンと言えるのです。
人間関係や環境が変わることへの不安
会社で働くというのは人間関係や働く環境もとても重要です。転職ブルーになる原因としては、これが一番大きいとも言えるかもしれません。
誰しも環境が変わる時には大きなストレスを感じやすく、新たな人間関係を構築するためには時間と労力を必要とするのです。
人見知りであったり、新しい人・環境に馴染むまでに時間がかかる人の場合には、特に転職ブルーの症状が重くなりやすく、夜眠れなくなったり、食欲低下などの症状が見られる場合もあります。
引き返せない、上手くいくかわからない不安
いざ内定をもらえると、承諾してしまったら後には引き返せないという一時的な大きな不安を抱えます。
より良い職場環境やスキルアップを目指して決断した転職であっても、上手くいくかは始まってみないと全くわかりません。
そんな不安が働き始めるまで転職ブルーとしてつきまとう場合が多くあります。
転職理由や目的を見失っている
転職を決断したのには、みなさんそれぞれの理由があると思います。
その転職理由や目的が曖昧であったり、転職活動をしていくにつれて見失ってしまうと、転職ブルーになりやすくなります。
それは、転職先の選択や自分の決断に自信が持てなくなるからです。
自分が何のために転職を決断したのかを明確に意識していれば、多少先の見えない不安があったとしても自分の決断に不安を抱くことは最小限に留めることができるのです。
転職先の企業の悪い口コミを見た
転職先に内定をもらって承諾をしてから、転職先の悪い口コミを見たり聞いたりすることが稀にあります。
そうなると、実際に働いていない状況だとその悪い印象が頭に残ってしまい、自分の決断は間違っていたのではないかと後悔の念に駆られ、不安が大きくなります。
どうしても、転職ブルーというネガティブな状態だと、よりマイナスな情報が目に入りやすくなるので、積極的にマイナスな情報をキャッチしようとしないことも大切です。
働いてみたら理想とのギャップがあった
転職ブルーの中でも、転職先の企業で働き始めてから感じる場合の要因もあります。
転職でこれからのスキルアップやより良い職場環境への理想を高く持ちすぎると、いざ働いてから現実とのギャップを受けてしまいます。
それにより、自分の思い描いていたものとは違う、自分の決断は間違っていたのかもしれないと転職ブルーの状態に陥ることがあります。
転職ブルーを解決する6つの方法
転職ブルーになる原因をご説明してきましたが、それでは実際に転職ブルーを解決するためには何をしたらよいのか、具体的な方法を6つご紹介していきます。
- とりあえず働き始める
- 積極的に正しいコミュニケーションをとる
- 転職先の企業の良い情報を見る
- 転職理由や目的を再確認する
- 不安要素を紙に書く
- 仕事のことを考えず趣味などで気分転換をする
とりあえず働き始める
転職ブルーを解決するための一番の方法は、実はとりあえず働き始めることなのです。
新しい環境や仕事に対して先の見えない不安を抱えることが大きい転職ブルーでは、実際に働き始めて仕事内容やそこで働いている人たちを知ることで、その不安は軽減していくことが多かったりします。
働き始めるまでは不安が大きく、働くことが怖くなってしまうこともあるかもしれませんが、とりあえず出勤一日目を頑張って過ごしてみることです。
誰しもすぐには慣れないのが当たり前なので、気負い過ぎずに3ヶ月から半年ほどかけてゆっくり職場や業務に慣れていく心づもりが大切です。
積極的に正しいコミュニケーションをとる
転職ブルーは一人で抱え込むことでより症状が深刻化しやすくなります。
先の見えない不安や人間関係の不安を取り除くためにも、早めの段階で積極的に正しいコミュニケーションをとっていくことが大切になってきます。
それは、転職後だけではなく新しい職場で働き始める前の時期でも言えることです。
ここで言う正しいコミュニケーションとは以下のポイントを意識することです。
- 笑顔で挨拶をする
- 不満や不安などマイナスな発言が多くならないよう意識する
- 不安な心情を自分だけで抱え込むのではなく、信頼できる人に話してみる
自分一人で考え込まずに、最初は勇気が必要かもしれませんが、人とコミュニケーションをとっていくことで徐々に不安が軽減していくこともあります。
転職先の企業の良い情報を見る
転職ブルーでマイナス思考になりやすい状況では、意識して転職先の企業の良い情報を見ることも大切です。
先の見えない不安は、実際に働いてみないとどうなるかわかりません。
だからこそ、自分の働くモチベーションを上げるためにも、自分の決めた転職先が良い企業であって、自分はこれからこの会社でどうしていきたいかを前向きに考えることが大切なのです。
転職理由や目的を再確認する
自分の決めた転職や企業が本当に良い決断だったか不安に感じてしまう場合には、今一度転職理由や目的を再確認すると良いでしょう。
- 自分は何のために転職を決意したのか
- 転職先を決めるための優先事項は何であったのか
- 転職した後、自分はどうなりたいのか
これらのことが明確化していて、しっかりと内定をもらった企業で自分の考えていることが達成できるのであれば、それは決して間違った決断ではないですし、不安に感じることはありません。
自分の目指す仕事の軸というものをしっかり持つことが大切なのです。
不安要素を紙に書く
転職ブルーで不安を抱えてどうすれば良いかわからなくなってしまった時には、ぜひ不安要素を紙に書いてみてください。
誰に見せるわけでもなく、まとまりのない文章でも良いのです。紙に書き出すことで自分の考えを整理することができます。
転職ブルーでは、先が見えないことへの不安が大きいため、
- 不安に思うことはどんなことなのか
- それに対し、今できることはあるか
- 働き始めてからできることはあるか
- 今どうしようもできないことを知る
これらが自分の中で整理できるだけでも、可視化することで少し気持ちが落ち着いたりもします。
仕事のことを考えず趣味などで気分転換をする
転職ブルーは新しい職場で働き始めるまで、その不安が解消されないことも多いです。
それであれば、仕事のことをできるだけ考えずに趣味などで気分転換することはとても大切です。
次の転職先で働き始めるまでの期間はきっとそんなに長くはないと思います。
新しい環境でまた一から頑張れるよう、リフレッシュして英気を養うことも大切です。
何もしないでいる時間が多いと、どうしてもマイナス思考に陥りやすいため、自分の好きなことで気を紛らわしてみましょう。
どうしても症状や状況が改善されないときの3つの対処法
転職ブルーに対しての具体的な対処法をご紹介してきましたが、どうしても症状や状況が改善されない場合というのもあります。
そんな場合、無理をして働き続けてしまうとより症状が悪化し、うつ病を発症する場合もあります。
これからご紹介する対処法もあることを理解した上で、無理のない選択をしてみましょう。
内定を断ることもできる
どうしても自分の選択に納得いかない場合や不安が強い場合、内定を辞退するというのも1つの選択です。
選考が進み内定をもらってから辞退するという人も実は少なくはありません。自分の本当にしたい仕事や将来のことをじっくり考えた上で後悔のない決断をしましょう。
企業側の仕事内容や部署替えを相談してみる
内定を承諾して、それから自分の本当にしたいと思っていた仕事が出来ないのではないかと不安になった場合。
その職場を辞めるという選択をすぐにしなくとも、仕事内容を会社側と相談したり、部署替えをしてもらうことによって不安が解消される場合もあります。
もし、内定を承諾してしまっている状況で、不安が強い場合には意外にも対応策を一緒に考えてくれる場合がありますので相談してみてください。
転職エージェントに相談してみる
内定を承諾するか迷っている場合や内定承諾後でも転職ブルーの症状が辛い場合には、転職エージェントに相談してみましょう。
転職のプロとして、転職ブルーに関しても良く理解しています。
不安に思う要因を話した上で、実績に基づいた適切なアドバイスをしてくれたり、内定を辞退したい場合には間に入って企業側に伝えてくれる場合もあります。
自分の思いや考えを整理するためにも転職のプロに相談するのは得策と言えます。
転職ブルーは自分と向き合う大切な時間
転職ブルーの時期は大きな不安と気分の落ち込みなどで精神的にはとても辛い時期だと言えます。
しかし、なんのための転職なのか、自分は転職後どのような将来を思い描いているのか。
自分自身の考えを見つめ直し、向き合うための大切な時間でもあるのです。
誰しも環境が変わることへの不安はあります。
その不安の原因は何なのか考え、本当に納得のいく転職となるよう今自分にできることを無理なく取り組んでみてください。